取引のある企業様より「はてなマークが出て、復旧もかないません。急ぎ入稿のデータがあって取り出したいのですが可能でしょうか?」とお持ち込み。
3月初旬
起動するとお話の通り
「フォルダにはてなマーク」のアイコン
これはシステムがない、もしくは読み込めない時にでるサインです。通常考えられる症状としてはディスクに損傷があり読み込めないか、単純にシステムが損傷している、もしくはシステムが存在しないかのどちらかです。
まずはデータが取り出せるかどうかを試しますが、Option + T のターゲットディスクモードでも、Optionでも下記の画面になってしまいます。ファームウェアパスワードでロックがかかっている状態です。このパスワードをクリアしないと、このMacを使うことはできません。EFI firmware BIOS passwordのロック状態。
うーん、ファームウェアロックの解除にはメモリの容量を変更すれば自然と解除できていたのですが(最近あまり見ないのでメモリ外してできないパターンもあるのかな?よく知りません。)、運が悪いことにこのiMacは
メモリが直付け
なので、ロック解除はできません。一旦保留して、内蔵ディスク内のデータを探っていきます。
まずはFusion Driveではないので、2.5インチのディスクを外して他のマシンに繋いでみました。
すると
あれ?UNTITLED
日本語だと名称未設定ですね。
代わりに手持ちの起動ディスクを入れて起動するか見てみましょう。
起動しませんね。ファームウェアロックがかかっているので別の起動ディスクでもダメということですね。iPhoneでパスワードを忘れてロックされたときの挙動とも似ています。
ああ、これはもしかして…最悪の事態か?
と、お客様に聞いて見ると、ファームウェアロックを解除するためにWEB上のiCloudサービスでいろいろやられてしまっているみたいです。当店のMacを使ってお客様のiCloudのIDなどを入れて確認すると…
「このMacはワイプされたため、位置情報は更新されません。」
の表示。
動作しないことでパニックになったのか、お客様ご自身で誤ってHDDを消去してしまっていた様です。(>o<)
ということで、データは諦めざるを得ません。(この後簡単にデータ復旧をかけてみた所、残りかすのようなデータが出てはきたので「ワイプ」もゼロ消去などではないと思います。)
本体の方は残念ながら、ファームウェアロックの解除を行わないとただのでかい箱ということになりました。スマホやタブレットでROM焼きなどを失敗して動かなくなる、いわゆる
「文鎮化」
です。国内でも解除サービスを行っているショップはありますが、利用には費用がまあまあかかること、コロナ禍まっさいちゅうでどれだけ時間がかかるのか想像もつかないので、お客様は修理を断念。iMac自体は廃棄扱いとなりましたので、当方にて中古部品取りマシンとして下取りさせて貰いました。
スタッフと相談したところ「せっかくなら、このマシンのファームウェアロック、解除して同時にうちでもサービスをはじめましょう」ということで、機材、部品を揃えることになりました。
5月下旬
部品、機材の選定、手配、入手にかなり時間がかかったものの、正常動作までうまく作業ができましたのでブログ追記していきます。
コロナ禍のせいもありましたが、それ以上に思わぬ時間がかかったのは、先に導入した専用ツール(まあまあ高いです。販売会社はハンダ作業無しでできると言ってましたが)では、このiMacの解除はできないことが判明したためです。
ラップトップ系の解除はこの専用ツールを使えば簡単な作業で済むのですが、このiMacはそうは行きませんでした。最終的にチップごとの交換を行う必要があったので、販売会社と交渉して再度交換に必要なEFIチップ部品を無償で送ってもらいました。
早速チップ交換をしていきます。
というところで、オプション起動をすると、起動ディスクを選択する画面がでてきました。
うまくいきました!
あとは、テスト用の起動ディスクを外し、新しく入れたSSDにシステムを入れて正常起動するかの確認です。
というところで、解決してしまえば、なんのことはない
ファームウェアロック解除
一件落着です。
これまでファームウェアロックの解除自体は、メモリがオンボードでなければ大抵解除できることと、あまり需要が見込めないので、当店でも特に用意しておりませんでした。
今後は2017年までのMacに関しては対応可能ですので、お気軽にお問い合せください。解除にハンダ作業がいらないものについてはその日でおかえしできると思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。