「電源は入るがバーの途中で止まってしまう」とお持ち込みです。
コンピュータ全般、電源は入るが起動中に止まるのはほぼHDD不良の疑いが濃いです。いずれにせよ発売から10年を超えるコンピュータのドライブは劣化していると考えられます。
引き続き使用なさいたい場合には、ドライブをSSDにするのが良いです。お客様にご了解を得てSSDヘの交換プランで進めます。
久しぶりの分解です。
かなりホコリが溜まっているのでまずはホコリ落としから。
さて、一通りホコリを落としたので早速SSDに交換。しかし今度は電源が入らなくなりました…。あれ？電源不良も起きたかな？とおもいつつ電源を新品に交換しても改善せず。面倒な作業になりますが基板ウラのCMOSバッテリーを交換したところ、もと通り電源が入るようになりました。
ところでこの機種は基板に小さなコネクタ類がいっぱいです。基板を外す際には全てはずさないといけません。元通りにする自信の無い方は、細かく写真を撮るか付箋などを貼って作業にはいる方がいいかと。また下記の写真以外にも背面に３箇所はずさないといけない箇所があります。
基板中央上部。
基板上に名称も書いてあるのでわかりやすいとは思いますが。
基板左下
基板右下
電源がはいりましたので新品SSDにはご希望のHigh Sierraをインストール。こちらは無事終了。
ただし電源も入りSSDも正常認識で起動画面は進むものの、当初と同じ様にプログレスバーは途中でストップ、正常起動しません。
念のためもとのドライブをチェックしますと、確かに劣化はしているようです。ただ新品のSSDでも同様の動作ということは直接的な原因はHDD不良だけではないということですね。他の箇所も故障している疑いが出てきました。
こちらで当初の作業費用だけでは改善が見込めないことが判明しましたので。お客様と改めて概算見積の費用でご相談、ご了解を得ましたのでさらに作業を続行していきます。
念のためとApple Service Diagnostics （2013年モデルまであった、チェック用の起動ディスク。機種別に数十種類あります）からも起動ができませんでしたので、ハード側に何某かの異常があることも判明。試しにシフトを押して新品SSD上のシステムから機能拡張を読み込まさせずに起動をさせてみますと無事Finder画面まで到達しました。そのままメモリチェックも行いましたがエラーが出ません。
考えて見ますと、この機種で多い故障のGPUカード異常が疑いが濃いですね。起動時にGPU関連の機能拡張の読み込み時にひっかかっているのかもしれません。ということで、さらにしんどい作業になりますがGPUカードに手を入れてみます。
基板を外したので、再度清掃を行っているところ。
基板オモテ。右に延びるヒートシンクの根元にGPUカードがあります。
基板ウラ
ATI Radeon HD 4850 512MB
GPUカード自体の異常は軽いハンダクラックと予想し、処置を施します。
できれば正常なGPUカードに交換したいところですが、10年も経つと良品はなかなか手に入りません。またこれ以上古いマシンに費用を費やすのはお客様にとってもメリットはありませんので、苦肉の策というところではあります。
組み込んで動作させたところ、Apple Service Diagnostics も正常に動作する様になりました。ということはようやく根本の故障箇所を特定することができた。ということになります。
当店では全ての修理において、修理箇所90日の保証をお付けしております。ただし今回不良だったGPUカードはすでに良品がほぼ入手不可能だと思われるため、保証対応の際には別の整備品iMacで対応させていただく可能性もある旨ご了解を得て、仕上げて行きます。
早速SSDの速度をチェック。
SSDの速度が十分にでていないのはこのマシンのSATA規格が3.0Gbpsのため。
※iMacでSATA規格が倍の6.0GbpsになるのはMid 2011から。
しばらく動作チェックをして問題有りませんので完了となりました。
ピカピカに磨いて完了です。
ご利用ありがとうございました。
