いつもの様にお客様のiMacのHDDモデルをSSDに換装作業をしていた時のこと。
元のHDDをSSDに完全複製してテスト起動をしてみますと、
SSDに交換した効果をあまり感じない。
あくまでも体感ですが、遅い気がしましたのでBlackmagicdesign社のDisk Speed Testで測定してみました。
数値を見ると読み込み速度も遅いですがまあまあ普通に出てるだけに、中途半端な動作は困りますね。原因はわからないまま、ディスクユーティリティを開いてみますと
Macintosh HD -Dataが二つある!?
調べて見ますと、macOS 10.13 High Sierraから導入されたAPFSフォーマットの問題の様です。現状このiMacはmacOS 11 Big Sur が動作していますが、iMac (Retina 4K, 21.5-inch, 2017) に一番最初に載っているシステムは、macOS 10.12 Sierraですね。
もとのSierraからBig Surまでは、おそらくOSアップグレードで来ているのだと思われます。その間のmacOS 10.15 Catalinaからは、
クリーンインストール時に新たな「Data」領域を作るため、
元から「Macintosh HD – Data」があった場合でも、合計2個の同名のボリュームが出来てしまうようです。
いじれないシステム領域「Macintosh HD」とデータを置いておく「Macintosh HD – Data」に分けられる様になったのは良いことなのでしょうが、勝手にふたつの「Macintosh HD – Data」ボリュームができてしまうのはちょっと困りますね。
APFSが出てからコンテナという新しい概念が出来ましたが、これまでのHFS+フォーマットやコンテナ、パーティションの違いなどについて詳しく知りたい方は是非下記リンクをご参照下さい。
とてもわかりやすくまとめられていましたのでお薦めです。オリジナルゲーム.comさん、ありがとうございます。
これが原因での速度低下なのかどうかは依然判別つきませんが、いろいろ試してみることにしました。
片方は「家マーク」がついて、もう片方は「家マーク」がついていません。「家マーク」は表示をみるからにシステム側とリンクしている様です。
探してみますと下記の様な似た事例がありました。
複数作られてしまったMacintosh HD – Dataを削除する
こちらも参考になりますね。「足だより」ブログの管理人さん、ありがとうございます。
コンテナの中は別のボリュームとして存在していても、使用出来る容量は共用されるはずです。ということは「どちらにも存在しているデータという判断」で、必要のないボリュームだと考えられる「家マーク」が付いていない方はおそらく消しても問題無いはずです。
と、ここでちょっと思いついて…
先程の状態に手を付けず、一旦終了してOptionを押しながら再起動してみました。起動ディスクを確認してみますと…。
やはりちょっとおかしいので関係無い方を削除することにします。
この後の作業はもちろんバックアップをした上で自己責任で行って下さい。当社での作業はHDD > SSDへ完全複製を行った上で、オリジナルのHDDには一切改変せずに新しいSSDの上で作業を行っています。
では先に手動でマウント解除してからではどうでしょう。
マウントを外して後に再度「APFSボリュームを削除」してみます。
APFSのダブった「Macintosh HD – Data」を消去することが出来ました。
この後、先程のオプション起動で起動ディスク選択画面を見てみますと、
2個が1個になりました。一見正常になった風に見えます。ここで気になるのは、
さて、速度低下との関係は?
というとこと起動チェックしてみますと、若干数値に改善はみられたものの、まだちょっとおかしい気がします。引き続き以下を試しました。
1、新品SSD(A)の不良を疑い、オリジナルHDDから別の新品SSD(B)に新たに完全複製してチェック → さほど変化無し。
ただ、やはり元のオリジナルHDD自体も影響しているのかも知れず。
2、新品SSD(B)をフォーマット後、システムを新規インストール、
オリジナルHDDからユーザーデータの引っ越しを行った → 改善△
1よりは正常な数値がでるようになりましたが、まだ思うように安定した速度がでません。はっきりしませんので検証を続けます。
3、ブランド違いの新品SSD(C)をフォーマット後システムを新規インストール、
オリジナルHDDから一度、別の新品SSDにバックアップ、上記のダブった「Macintosh HD – Data」ボリュームを削除したディスクから、
ユーザーデータを引っ越しする。
ようやく3番で安定して速度が出るようになりました。
一番最初の1の手順と違うのは、
- ダブった「Macintosh HD – Data」を削除したコピー元に使った
- 同サイズの違うブランドのSSD
の2点ですが、
大きな理由としては「同サイズの違うブランドのSSD」を使ったことでしょう。念のため、新品SSD(A)、新品SSD(B)を詳しく調べますと
単なるディスク不良だったことが判明しました。
まさか2個とも不良が続くとは…。(泣)でもいろいろ勉強になりましたし、何より安心してお客様にお渡しすることが出来ます。今回はこれにて完了です。
いずれにせよAPFSは悩ましいです…
これまで当店では、多くのお客様のiMacSSD換装をオリジナルHDDから新品SSDヘ完全複製をすることで対応してきました。当社の業務用コピー専用機は元のHDD側に多少の不具合があってもほぼ問題無くユーザーデータの移行が出来る優れものですので、一番スピーディで安全な方法でした。
今後、macOS 10.15 Catalina以降のバージョンのドライブ交換をする際には、工数は若干増える可能性がありますが、以下の手順に変更する方が良いのかもしれません。
- 新しいSSDをフォーマット後
- 必要なバージョンのmacOSで新規インストールを行う
- オリジナルHDDもしくはTimeMachineバックアップからユーザーデータを復元する
※転送元のオリジナルHDDに「Macintosh HD – Data」が「複数(3つできることもあるのかしら?)」あるないで、複製した新品SSDの動作に影響があるかどうかは、今後引き続き検証できればというところです。
コメント